声がする

かじかんだ手に冬の到来を感じる。
幼い頃は無邪気にサンタクロースを待っていた。
そんな無邪気さは遠い空のようで、今となっては夢や希望が吸い殻と同じように灰皿でくすぶっている。
年を重ねるにつれ、自分に嘘をついてごまかすことがだんだんとうまくなっていく。
流行や時流にしがみついて、飾り立てた言葉を吐いては自らを笑う。
世間や社会がどれだけ醜くとも、本音で生きていたいと思っていた。
しかし、それとは裏腹に、耳をふさいでいる僕がいる。今では自分の本音すら聞き取れない。仮面をつけた姿が様になっていく。

ここにいるのは誰だ。
そこにいるのは誰だ。
この声は誰だ。
その声は誰なんだ。

年の瀬で活気づく街。
今日も一人立ちすくむ僕。
もういっそのこと笑い飛ばしてほしい。
それだけですべてが解決する。

一生懸命に生きる勇気はいつのまにかなくなった。そこに悲しさがないことに気づき、また自嘲してしまう。
今日も僕は、小さな微笑みをなんとか捻出しながら、なぜか生きている。